微生物学免疫学講座
講座紹介
微生物とは一般には細菌や真菌などを指します。しかし、広い意味ではウイルス、プリオンなども微生物として取り扱う事もあります。さらに単細胞の寄生虫である原虫までも微生物に含むこともあります。医学部では、この微生物の中でも特に病気を起こす「病原微生物」が教育、研究の対象となります。また、微生物学と密接な関係にあるのが、微生物に対する身体の防御反応を研究対象の1つとする免疫学です。昭和大学医学部微生物学免疫学講座ではこれらの細菌学、ウイルス学、寄生虫学、免疫学を教育、研究の対象としています。日本の大学医学部あるいは医科大学ではこの4つがそれぞれ独立した研究室となっているところもありますが、昭和大学医学部では4つの領域を1つの講座で担当するという長所を生かして教育、研究を行っています。研究に関しては臨床各科とも積極的に共同研究を行っています。また、感染動物を用いた実験が行える施設を持っている利点を生かして、企業などから感染実験に関する共同研究、感染症診断キット等の開発に関する共同研究などのオファーに対しては積極的に対応し、共同研究を行っています。
教育
医学部微生物学免疫学講座は以下の科目を担当しています。1. 医学部2年:免疫の働きを担う器官、細胞と分子、免疫の生理学的と病理学的役割、細菌と真菌、ウイルス、寄生虫
2. 医学部3年:微生物学実習、医学英語A、M3臨床医学演習 (PBL)、臨床シナリオPBLチュートリアル(4学部連携)
3. 医学部4年:病棟シミュレーションPBL(4学部連携)
4. 富士吉田校舎1年:4学部連携PBL、早期体験学習
5. 保健医療学部2年:感染免疫学
6. 医学部付属看護専門学校1年:微生物学
研究
医学部微生物学免疫学講座では以下の領域の研究を行っています。1. 潜伏ウイルスの再活性化の機序に関する研究
2. サイトメガロウイルス感染症に関する研究
3. 感染防御におけるNKT細胞の役割
4. 腸管免疫に関する研究
5. 炎症性腸疾患の発症機序に関する研究
6. 腎疾患の発症?進展に関する免疫病理学的研究
7. 腎疾患の新規治療に関する基礎的研究
沿革
昭和大学医学部微生物学免疫学講座は、令和2年4月に医学部微生物学講座から名称変更されて誕生した講座です。その沿革を簡単に紹介します。<細菌学教室>
昭和大学は昭和3年に昭和医学専門学校として発足しました。その年、東京帝国大学細菌学教授の竹内松次郎博士が、細菌学教室の初代教授に兼任で就任しました。昭和6年には、春日健造博士が第2代教授として着任し、昭和21年までの15年間、教授として研究?教育を行いました。昭和21年には昭和医科大学となりましたが、その年、林喬義博士が東大伝染病研究所より専任助教授として赴任しました。その後、昭和26年、福留勇博士が第3代教授として国立予防衛生研究所から着任し、昭和48年まで在任しました。昭和48年には小松信彦博士が第4代教授に就任しました。博士は、昭和39年に東大医科学研究所から薬学部微生物薬品化学講座初代教授として来任し、薬学部教授として9年勤務した後、医学部に転じ、昭和62年に退職しました。昭和62年には、本学出身の島村忠勝博士が東海大学医学部助教授から第5代教授として着任し、平成20年に定年退職しました。
<医動物学教室>
医動物学教室は、寄生虫学、衛生動物学の研究?教育を行う教室として戦後間もなく開設されました。初代教授は森和雄博士で、昭和44年に退職しました。その後、昭和48年に森教授のもとで助教授を勤めていた岡本謙一博士が第2代の医動物学教室の教授に就任し、平成9年に退職しました。
<微生物学講座>
平成20年4月には従来の細菌学教室と医動物学教室が合併し、微生物学講座が開設され、平成20年9月に田中和生博士が東海大学医学部から初代教授として着任し、令和2年3月に退職しました。
<微生物学免疫学講座>
令和2年4月に微生物学講座は微生物学免疫学講座と名称変更し、本学内科学講座腎臓内科学部門准教授の伊與田雅之が教授に就任し、現在に至っています。
講座員
教員(専任)
役職 | 氏名 | name |
---|---|---|
教授 | 伊與田 雅之 | Iyoda Masayuki |
准教授 | 幸田 力 | Kohda Chikara |
准教授 | 石川 裕樹 | Ishikawa Hiroki |
講師 | 久野 芳裕 | Kuno Yoshihiro |
助教 | 長島 隆一 | Ryuichi Nagashima |
職員?医局員
役職 | 氏名 | name |
---|---|---|
秘書 | 森 扶美代 | Mori Fumiyo |
教員(兼任?兼担)
役職 | 氏名 | name |
客員教授 | 田中 和生 | Tanaka Kazuo |
客員教授 | 安倍 正史 | Abe Masahumi |
客員教授 | 小林和夫 | Kobayashi Kazuo |
兼任講師 | 丸茂健治 | Marumo Kenji |
兼任講師 | 柳川 容子 | Yanagawa Yoko |
兼任講師 | 大山 覚照 | Ohyama Kakusho |
兼任講師 | 辻 典子 | Tsuji Noriko |
兼任講師 | 猪 聡志 | Ino Satoshi |
医学研究科
役職 | 氏名 | name |
大学院生 | 古川 和奈 | Furukawa Kazuna |
大学院生 | 長根 大樹 | Nagane Daiki |
大学院生 | 原野 康平 | Harano Kohei |
大学院生 | 鈴木 健悟 | Suzuki Kengo |
大学院生 | 外山 恵子 | Toyama Keiko |
研究業績
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2010年業績
英文総説
Zhao W-H and Hu Z-Q. β-Lactamases identified in clinical isolates of Pseudomonas aeruginosa. Critical Reviews in Microbiology 36:245-258, 2010.Zhao W-H and Hu Z-Q. The enigmatic processing and secretion of interleukin-33. Cellular & Molecular Immunology 7:260-262, 2010.
2009年業績
著書
Hu Z-Q and Zhao W-H. Chapter 33. Serratia. Molecular Detection of Foodborne Pathogens 459-469, 2009. Taylor & Francis CRC Press (UK)原著論文
Zhao W-H, Chen G, Ito R and Hu Z-Q. Relevance of resistance levels to carbapenems and integron-borne blaIMP-1, blaIMP-7, blaIMP-10 and blaVIM-2 in clinical isolates of Pseudomonas aeruginosa. Journal of Medical Microbiology 58:1080-1085, 2009.Zhao W-H, Hu Z, Chen G, Ito R and Hu Z-Q. Contributions of IMP-10 metallo-b-lactamase, the outer membrane barrier and the MexAB-OprM efflux system to high-level carbapenem resistance in Pseudomonas aeruginosa. Chemotherapy 55:168-174, 2009.