基礎医療薬学講座 薬物動態学部門
講座紹介
昭和大学薬学部を卒業する学生さんのほとんどは、卒業後に薬剤師としての業務に携わり、薬剤師としての社会的評価を受けることになります。そこで当教室では、『薬剤師職能を向上させるための研究』、別の言い方をすると『臨床的問題を解決するための医療薬学的研究』を展開することを大きな方針としています。必ずしも動物や細胞を扱う実験だけが研究というわけではないので、患者さんの血中濃度データや最新の医薬品情報を調査?解析することも研究テーマとして重要視しています。また、当教室での研究の多くは、大学病院の医師をはじめ他の研究施設の先生方との共同研究を含んでいます。現在、病院薬剤部および地域薬局の薬剤師や製薬企業の方を研究生や社会人大学院生として受け入れているほか、海外からは、タイの薬学部教員を外国人研究生として、インドネシアの薬学部教員を博士後期課程学生として受け入れて、多方面との共同研究を行なっています。外国人がそばにいることで、英語でコミュニケートすることの楽しさが体得できると期待しています。当研究室での研究を通して、学生さんには「薬剤師は何をどのように研究すればよいのか」という考え方を修得して欲しいと願っています。若い時期の貴重な時間をルーチン的な実験に明け暮れるのではなく、薬剤師として必要な研究能力を向上させることに有効活用して欲しいと思います。
講座紹介
薬物動態学教室は、1998年4月に大学院薬学研究科医療薬学専攻が設置された際に、臨床分子薬品学教室として新設された研究室です。2000年3月16日付けで佐藤 均教授が着任されました。2007年12月の「薬学的臨床研究?教育センター」発足を機に、薬物動態学教室へ名称が変更されました。研究概要
薬物動態学教室では、『臨床的問題を解決するための医療薬学的研究』を展開することを大きな方針としています。薬物動態学的な視点からは、「医薬品の副作用を軽減し効果を向上させるための臨床薬物動態学研究」を中心とし、薬物相互作用研究やPK(PPK)/PD解析、新しいDrug Delivery System(DDS)の開発、病態の診断?治療に関する基礎的?臨床的研究を行なっています。さらに、薬物動態学だけにとどまらず、「薬剤師業務支援を目的とした医療薬学的研究」も併せて行なっています。
- 薬物相互作用の薬動力学的解析
- 新規薬物送達システム(DDS)の開発?研究
- ジェネリック医薬品の薬物動態学的評価
- 薬剤師業務を支援するための医療薬学的研究
- 病態の診断?治療を目的とする基礎的?臨床的研究
講座員
教員(専任)
役職 | 氏名 | name |
---|---|---|
教授 | 佐藤 均 | Sato Hitoshi |
准教授 | 杉山 恵理花 | Sugiyama Erika |
助教 | 田島 正教 | Tajima Masataka |
研究業績
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2011年業績
- Suzuki T, Saito I, Adachi M, Shimbo T, Sato H.: Influence of patients' adherence to medication, patient background and physicians' compliance to the guidelines on asthma control., YAKUGAKU Zasshi, 131(1):129-38 (2011)
2010年業績
- Suzuki S, Murayama Y, Sugiyama E, Hirunpanich V, Saito K, Sekiyama M, Sato H.: Estimating pediatric doses of drugs metabolized by cytochrome P450 (CYP) isozymes, based on physiological liver development and serum protein levels., Yakugaku Zasshi,130(4):613-20 (2010)
- Suzuki T, Kaneko M, Saito I, Kokubu F, Kasahara K, Nakajima H, Adachi M, Shimbo T, Sugiyama E, Sato H.: Comparison of Physicians' Compliance, Clinical Efficacy, and Drug Cost before and after Introduction of Asthma Prevention and Management Guidelines in Japan (JGL2003)., Allergol Int., 59(1):33-41 (2010)
- 鈴木信也, 村山悠佳, 杉山恵理花, 関山正夫, 佐藤均:受胎後週数を考慮した腎排泄型薬剤における新生児薬用量推定, 医療薬学,36(10): 763-767 (2010)
2009年業績
- Sugiyama E, Inada M, Kunizaki J, Tobita K, Yoshida T, Kashimoto M, Hirao Y, Sato H.: Desirable pharmacokinetic properties of (13)C-uracil as a breath test probe of gastric emptying in comparison with (13)C-acetate and (13)C-octanoate in rats., Scand J Gastroenterol, 44(9):1067-75 (2009)
- Hirunpanich V, Sato H.: Improvement of cyclosporine A bioavailability by incorporating ethyl docosahexaenoate in the microemulsion as an oil excipient., Eur. J. Pharm. Biopharm., 73(2):247-52 (2009)
- Minami H, Kawada K, Sasaki Y, Tahara M, Igarashi T, Itoh K, Fujii H, Saeki T, Ozawa K, Sato H.: Population pharmacokinetics of docetaxel in patients with hepatic dysfunction treated in an oncology practice., Cancer Sci., 100(1):144-9 (2009)
- Ozawa K, Minami H, Sato H.: Clinical Trial Simulations for Dosage Optimization of Docetaxel in Patients with Liver Dysfunction, Based on a Log-binominal Regression for Febrile Neutropenia,Yakugaku Zasshi, 129(6):749-757 (2009)
- 小澤和弘, 南博信, 佐藤 均:α1-Acid glycoproteinを指標とした新たなドセタキセル投与量選択基準の提唱, 薬学雑誌,129(12): 1565-1572. (2009)
- 鈴木信也, 村山悠佳, 杉山恵理花, 関山正夫, 佐藤均: 腎機能の生理学的発達を考慮した腎排泄型薬剤における小児薬用量の近似推定法, 医療薬学, 35(11):791-798.(2009)
- 鈴木信也, 村山悠佳, 杉山恵理花, 関山正夫, 佐藤 均: 腎機能の生理学的発達を考慮した腎排泄型薬剤における新生児?乳幼児薬用量の推定, 薬学雑誌, 129(7):829-42.(2009)
- 石川朋樹, 杉山恵理花, 佐藤均 : 注射薬混合時に用いる各種シリンジフィルターへの薬物吸着に関する検討, 医療薬学,35(3):189-194(2009)